
映画『偉大なる、しゅららぼん』で注目の琵琶湖、パワースポット呼ばれる理由とは?

3月8日公開の映画『偉大なる、しゅららぼん』。日本最大のパワースポットといわれる琵琶湖、その湖畔に暮らす不思議な力を持つ一族同士の対立を描いた物語です。原作は、『鴨川ホルモー』(角川グループパブリッシング)、『プリンセストヨトミ』(文藝春秋)の万上目学さん。
『偉大なる、しゅららぼん』は、パワースポットである琵琶湖にちなんだ作品。パワースポットといえば、伊勢神宮や出雲大社などが有名ですが、琵琶湖も日本有数、もしくは、世界でも類を見ない不思議なスポットといわれています。なぜ、琵琶湖がパワースポットといわれているのか? そして、どんなご利益があるのか……今話題の琵琶湖について、紹介していきます。
琵琶湖は日本一大きな湖として知られていますが、実は、世界でも有数の古代湖。400万年前から存在しています。不思議なのは、「琵琶湖はずっと同じ場所にあったわけではない」ということ。もともと今の三重県伊賀付近にあり、時間をかけて北へ北へと移動してきた生き物のような湖。さらに、琵琶湖は湖底に謎の遺跡があり、全部で100カ所以上といわれています。縄文時代の土器や、水没した集落群など、リアルな生活跡を多く残した湖底遺跡は世界的にもめずらしいとか。「いったいなぜ、湖底村は沈んでしまったのか?」など解明されていない謎があり、まさに、神秘の湖として、底知れないパワーを感じさせます。
自然崇拝では、水は神の棲む場所とされ、古くから琵琶湖は信仰の対象でした。そのなかでも、琵琶湖の北部に浮かぶ竹生島(ちくぶしま)は神の棲む島として崇められてきました。名前の由来も、「神の斎く(いつく)住居(すまい)」が、「つくぶすま」と変わり、「ちくぶしま」となったとか。島には、竹生島神社(都久夫須麻神社)と宝厳寺があります。聖武天皇が夢枕に立った天照皇大神から、「その島は弁才天の聖地であるから、寺院を建立せよ。そうすれば、国家泰平、五穀豊穣、万民豊楽となるだろう」とお告げをうけたのが始まり。現在でも、人は住まず、寺院関係や店の従業員などは、島外から通います。夜はまったくの無人島となり、神様だけとなるのです。
滋賀県の6分の1を占める琵琶湖は、地元の人たちにとって心の故郷。水道、農業、工業の水源であり、魚や鳥など自然の宝庫でもあります。地元の人たちにとっては、パワースポットというよりも、より身近な存在。また、琵琶湖八景など、変化に富んだ美しい風景も魅力のようです。湖の周りを自転車や車で走ったり、バーベキューをしたり、花火を見たりなど、癒やしのスポットといえるでしょう。大切な湖なので、水質などもかなり気になるようです。
竹生島にある竹生島神社(都久夫須麻神社)と宝厳寺は、一つの廊下でつながっています。そして、この寺社にある「弁天様の幸せ願いダルマ」が、ご利益があることで有名。赤い小さなダルマの中に、お願いごとを書いた紙を収め、奉納するというもの。ダルマは1つ1つ職人さんの手作りで、それぞれ顔が違います。自分に合うダルマをインスピレーションで選び、願いをかなえていただきましょう。
また、琵琶湖には龍神が棲んでおり、その龍神が暴れないように見守っているのが弁天様。拝殿近くにある竜神拝所では、土器に願いごとを書き、鳥居に投げる願掛けもあります。投げた土器が鳥居をくぐれば、願いごとが成就するといわれています。
そのほかにも、さまざまな顔をもつ琵琶湖。名前だけしか知らないという人も、神聖な気持ちで訪れてみれば、大いなるパワーを得られるかもしれません。
(金森藍加)