他人の動作や影響を受けて、自分も同じように動いてしまうことを、心理学用語で「モデリング」といいます。人間は成長過程において、モデリングにより学習・成長していくといわれています。この行動原理を、「行動する側」ではなく、「影響を与える側」に立って利用すれば、他人の興味を引き、ときにはコントロールすることも可能なのです。今回は、そんな集団心理に基づいた働く女子のためのテクニックを4つご紹介します。
テクニック1 自ら意図的に行動を起こし、相手の行動を操る
人間の行動や動作は、他人の行動や動作によってコントロールされていることが多いもの。客寄せの「サクラ」は、こういった心理を突いたものといえるでしょう。これは、人間関係にも当てはまります。たとえば、助けを求めている人がいても、誰も動かないと動きにくいのに、誰かが動いた後だと、それにつられるかのように皆が動くというケースがそうです。そのため、他人の行動をコントロールするなら、相手にしてほしい行動を意図的に自分がすることが大切なのです。
テクニック2 集団の団結力を高めるには共通の敵を作るだけでいい
学生時代、普段は一体感のないクラスが、体育祭になると一致団結したという経験はありますよね。これは、「共通の敵」がいることで、団結力が強くなる傾向があるから。「負けたくない」という意識を集団が共有することは、組織のモチベーションを高め、能力を向上させる原動力になるのです。何にどう勝ちたいのか、この部分だけは負けない、というように明確化することで、さらに効果は上がるはず。
テクニック3 自分の組織のPRをさせれば、新人は組織の信者になる
タレントやミュージシャンなどの熱狂的なファンは、その人と同じ格好や話し方をすることを好みますよね。これを「同一視」といいます。これが組織的になると、ある集団の一員であることに高い価値を認め、誇りを持つ「集団同一視」となります。そうすると、集団に対しての親愛の情や依存感情が生まれ、ルールや考え方を自分の価値基準として積極的に受け入れるようになるのです。そのため、自分の組織のPRをさせることで、集団同一視を促すことができるのです。
テクニック4 成功率半分の命令を出せば、集団は100%力を発揮する
人は大なり小なり目標を持っており、その目標こそがモチベーションになります。では、どのように目標設定をすれば、モチベーションを高められるのでしょう。アトキンソン理論によると、「動機づけの強さ=本人の達成動機の強さ×成功の主観的確率の高さ×成功報酬の価値の高さ」とされます。そのため、確実に成功する、もしくは確実に失敗する、とわかっている目標よりも、半々ほどの確率で成功するかもしれないという目標設定をすることで、モチベーションが高められるのです。
「集団心理」とは群集の中に生まれる特殊な心理状態のこと。あまりにそれが高まりすぎると、衝動的で興奮性が高まり、判断力や理性的思考が低下し、他人に流されやすくなります。それが引き起こすよくない事例が「いじめ」なのですが、逆に効果的に活かすことで、効率を高め、モチベーションアップにもつながるのです。ぜひ、仕事上で有効活用してみてくださいね。
(脇田尚揮)