
【血液型トリビア】血液型は最初は3種類だった? ヨーロッパでは6種類って本当!?

――日本では知らない人はいない血液型占い。けれど血液型占いの人気は、日本やアジアの一部の地域に限られています。なぜでしょうか? 実はそこには世界の血液型分布が関係しているのです。そんな、血液型と、血液型占いにまつわるトリビアをご紹介しましょう。
ABO式血液型は、A・B・O・ABの4種類というのは常識です。しかし、本当にそうなのでしょうか?
ABO式血液型は、1901年、オーストリア人の病理学者、カント・ランドシュタイナーが発見しました。しかし、発見当初はA型、B型、O型の3種類だけです。なぜAB型が見つからなかったか? それは実験の被験者にAB型がいなかったからです。けれど翌年にはAB型も見つかり、現在のA・B・O・ABの4種類の分布法が世界中で用いられるようになったのです。
各血液型は特有の血液型物質を持っていて、その量の違いで、さらに細かく、A型をA1、A2、A3……などと分けていくことができます。日本人のA型はほぼA1型ですが、ヨーロッパではA2型が珍しくなく、イギリスやフランスではA型の約5分の1がA2型です。AB型も1型と2型に分かれるため、ヨーロッパでのABO式血液型は、A1、A2、B、O、A1B、A2Bの6種類となるのです。A2型の人にはA型血液が輸血できない場合もあるため、輸血の際には厳正な判別が必要ですが、日常的に「私はA1、あなたはA2」と言った会話がされているわけではなく、自分の血液型を知らない人も少なからずいるようです。
日本でのABO式血液型の分布は、A型38.1%、B型21.8%、O型30.7%、AB型9.4%。しかし、ヨーロッパでは、O型が半数近くを占め、逆にB型とAB型は極端に少なく、特にAB型は3~5%程度しかいません。ABO血液型発見当初AB型が見落とされていたのも、そのためです。アメリカ、アフリカ諸国も同様で、アフリカのギニアや、南米コロンビアでは半数以上がO型で、AB型はわずか2%。ネイティブアメリカンやイヌイットはほぼ全員がO型です。
先住民族にO型が多いことや、O型の血液型物質が、A型とB型の血液型物質の前駆体のため、初期人類はすべてO型だったという説もありました。けれど、その後の分子生物学の研究で、初期人類はすべてA型で、変異によりO型、B型が出現したことがわかっています。世界の血液型分布の偏りには、発祥以来の人類の大移動の痕跡が残されているという研究もあります。
血液型占いが日本でこれほど人気となったのは、4種類という簡単さと、たまたま4等分に近いほどよい割合だったから、という理由があるのは間違いないでしょう。占いをするときに、半分以上が同じカテゴリーになってしまったら、面白くありません。ですから、これほど分布に偏りがある血液型が、海外で占いとして人気が出ないのも当然なのです。
(高橋桐矢)