東洋占術界の大御所・幻遙氏が語る、“本物の占い師”のあるべき姿
鑑定士歴40年以上。東洋占術界の大御所のひとりである幻遙氏。「鑑定士は、診断・助言・指導のスペシャリストであらねばならない」がポリシー。そんな大家の目に、昨今の占い業界はどう映っているのでしょうか?
幻遙氏(以下、幻遙) インターネットの発達によって、誰もが気軽に占いを楽しめるようになったことはよいことだと思っています。ただ、マイナス面もありますね。占い本を1、2冊読んだだけで簡単に占い師を名乗ってしまう。ネットにはそんな「占い師もどき」が溢れている。これは問題だと思いますね。
――「本物」と「もどき」の違いは何でしょうか。
幻遙 まずは勉強量の圧倒的な差。私の専門である東洋占術を例にお話しすれば、その源流は易経です。6,000年前に中国で生まれ、約2,500年前の春秋時代に孔子が大成させました。東洋哲学の真髄である四書五経の筆頭が易経です。全部マスターするには30年はかかる。私も20代のときに師匠からこれを習いはじめ、還暦を過ぎた今も折に触れて原典に戻り、研鑽を続けている。こうした努力を続けることができるか否か、です。
――本来、相当な修行と研鑽が必要な世界ということですね。
幻遙 そういうことです。また、本来の易は、宇宙科学、自然科学であって、人の未来を予測して当てるものではありません。当然、そこには勧善懲悪的な倫理感などもない。宇宙の摂理を東洋的アプローチで解き明かした思想、学問の1つなのです。
――「人の未来を予測して当てるものではない」ならば、占い師の役目は何なのでしょうか。
幻遙 昨今、占いをカウンセリングと混同している占い師が多すぎますね。悩める人の話を聞いて、適当に占いを使って慰める。これだけでお金を取ったら詐欺のようなものです。「運」という文字は、「動く・巡る・運ぶ」、要は「変わる」ことを表しています。では「運命」とは何か。「命」とは天が授けた人の資質・能力のことですから、「人は変わる」存在だということです。運命をいい方向に変えることが「開運」で、これの手助けをするのが占い師の役目です。具体的には占術の原理を基に「診断・助言・指導」を行う。このうち「指導」がもっとも重要で、これができない人は占い師とか鑑定士を名乗ってはいけないと私は考えています。
――「指導」の具体例を教えてください。
幻遙 原因があるから結果が生じるんです。つまり、その原因を吉に変えてしまえば結果も吉に変わるということ。その具体的な方法を教え導くことが、占い本来の役目です。あるとき、胸騒ぎがして眠れないという人が相談に訪れました。よく話を聞いてみると、1週間前に知人からゴルフに誘われた直後に胸騒ぎがはじまっていることがわかった。筮法で顕霊して「卦」を出すと「災難」の相が見えた。つまりゴルフに行くと災難が降りかかる可能性が高い。そこで私は「ゴルフの誘いは断りなさい」と進言した。これが「指導」です。結局この方は私の指導に従って、誘いを断った。そうしたら、一気に心が晴れ渡り、その日のビールは実に旨かったそうです。
――もし、そのままゴルフに行っていたらどうなっていたのでしょうか。
幻遙 1カ月後、予定通りゴルフに行った彼の知人は自動車事故を起こして、入院してしまったそうです。しかし、彼は私の指導を受け入れ、運命を変えることができたわけです。
――最後に大ベテランの先生に伺いたいのですが、人はなぜ悩むのでしょうか?
幻遙 この世に悩みのない人間はいませんが、これを軽減することはできます。それは「誰かのために生きること」。人は自分のためだけに生きていると、苦しみ、悲しみは百倍になります。愛する人のために生きてこそ、充実が生まれるんです。生きる活力が出てくるんです。だから、皆さん、誰かのために生きてください。そうすれば苦も楽に変わるということです。
鑑定所名/鑑定ルーム「サンモーリス」
住所/東京都調布市仙川町1-12-9 SSビル201号室
TEL/03-5384-9611(完全予約制)
鑑定士/幻遙
占術/易、太霊法占術
HP/http://genyou.net/
ブログ/http://ameblo.jp/genyoblog/