
SUGARが贈る、12星座2018年上半期の物語 運命を象徴する1冊は何?
蠍座……『東京を生きる』(雨宮まみ/大和書房/2015年)
地方出身者である著者が語る、東京の怖さの正体。それは結局、自分というものが溶けてなくなってしまうのが怖い、ということなのだと思います。強すぎる欲望喚起システムの中で、たえず欲望を煽られ続けることで、自分というものの輪郭があっという間にぼやけてしまう。
2018年前半の蠍座もまた、そうした自分が自分だけのものじゃなくなっていく状態に置かれていきますが、著者はそんな心理について、こう述べています。「ほんとうに満たされるということを、もしかしたら自分は知らないのかもしれない、知らないからこんなに求めてしまうのかもしれない、と不安になる」。
それでも、著者はそれに怯えるのではなくて、むしろ自覚した上で積極的に乗っかって、そこでちゃんと生きていく姿勢を示していく。それこそ今あなたに必要なものなのではないでしょうか。
(SUGAR)