SUGARが贈る、12星座2018年上半期の物語 運命を象徴する1冊は何?
天秤座……『堕落論』(坂口安吾/新潮文庫他/1946年)
この本が発表されたのは戦後まもない1946年4月。まだ荒れ地の東京をにらんで、安吾は次のように書きました。「人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。そして人の如くに日本も亦堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない」と。
この本は太宰の『仮面の告白』のような個人的内面の吐露というより、社会全体を視野に入れた批評であり大胆な提言なのです。つまり、適当なキレイごとにすがってるんじゃねえ! 理想論を語るな、お前もお前もお前も生きて、戦って、堕ちきってみせろ、と。
2018年前半の天秤座もまた、安吾のような鋭い眼光と佇まいで世間を斬っていくと同時に、自分自身を客観的に見つめ直し、「平凡な当然さ」の中で、いかに生き延びていくかを試されていくことになるでしょう。
(SUGAR)
