【占い婚活奮闘記】運命の相手は「長細い顔の彼」!? 電話占いのご宣託に振り回される日々
___お嫁さんになりたい! ……そう夢見て34年。23歳で婚活をスタート、出会ったダンナ様候補は100人以上。出会い、相性、結婚について占ってもらった占い師も100人以上。気づけば婚活&占い歴10年以上。それでも手に入らない幸せな結婚。そんな結婚ドリーマー・茶ふみが、最後の婚活に乗り出した! 目指せ、東京オリンピック婚!!
占いの母に結婚は30歳と言われ、人生初のお見合いも散々、遠のくばかりの夢の結婚生活……。そんな茶ふみに、思いもかけない人から連絡が! そして、占いと婚活に翻弄されてしまうのです。(これまでのお話はこちら)。
残念な結果となった初のお見合いでしたが、これを皮切りに、私の婚活ライフは本格的に幕を開けました。合コンよりも、「結婚前提」のお見合いと婚活パーティーを中心に隔週のペースで出向く日々。1年で50人ほどの男性と出会いましたが、年齢や経歴はよくても生理的に無理だったり、新興宗教に誘われたりと散々でした。
婚活に疲れかけた24歳の頃、なんと、大学時代に大好きだった三上君から食事に誘われたのです。
三上くんにフラれて5年。完全に未練を断ち切れず、婚活の傍ら度々連絡をしては「三上君より好きになれる人はあらわれないと思うの」「三上君のお嫁さんになれたらいいのに」と、アタックを繰り返していた私。そのたびに、「自分はお寺の人としか結婚できないから、ごめん」と言う三上君。三上君は由緒のあるお寺の跡取り息子だったのです。
そんな三上くんからのお誘い、いったい何なのか……。
「茶ふみ、俺と結婚してお寺の奥さんになるのはどう?」と言う三上君。目がテンになる私。聞けば、「茶ふみほど自分を好きでいてくれる人はいないから」だとか。……逃げられても追い続けた執念が、見事に実を結んだのです。
お寺の奥さんになったら修行に出たりと何かと大変で、VERY妻のような悠々自適な主婦ライフとは真逆の生活。それでも、最愛の三上君と結婚できるならこれ以上の幸せなんてないはず! どんなに大変だろうが苦労しようが、「寺嫁」になる!! と三上君のために頑張ることを決めたのです。
しかし、私と三上君の仲をよく思っていない人がいました。それが、彼の継母です。
幼少の頃、実の母親を病気で亡くした三上くん。その後お寺にやってきた継母が厳しいという話は昔から聞かされていました。三上くんが私を紹介しようとご両親に話したところ、継母は猛反対! 三上君には、同じ宗派のお寺の娘さんと結婚させたがっているようなのです。
継母に三上君との仲を引き裂かれてしまう……と不安を抱いていた夜のこと。部屋にあった「an・an」(マガジンハウス)をめくっていると、ある広告に目がとまりました。
「霊感・霊視でお悩みを解決。電話占い○○」
怪しいな~と不審に思いつつも、20分3,000円くらいなら物は試しだと携帯のダイヤルボタンを押したのです。
受付の人から霊視ができる占い師さんに電話をつながれると、女性の占い師さんが出て、「どうなさいましたか?」と淡々とした口調で問われ、抱えている悩みの一部始終を話しました。
一通り話すと、「少しお待ちくださいね」と占い師さんはいい、受話器の向こうから「ジャラッジャラッ……」と、お数珠をこすり合わせるような奇妙な音が聞こえてきました。何をしているのかわからず、音だけ響く不気味な状況に、電話を切ってしまおうか躊躇していると、音がやみ、占い結果を告げられました。
「カーテンのような服を着ている女性がみえました」
カーテン……? 一瞬戸惑いましたが、三上くんに見せてもらった継母の写真を思い出し、納得しました。着物の生地で出来た和柄模様のワンピースを着ていた継母。高級そうなお洋服だったけど、まさにカーテンのようだったのです。
さらに占い師さんは、継母に加えて小姑が3人いるという三上君の家族構成や、紅葉の木が植わっているというお寺の外観まで当てたのです。
昔よく訪れた母の占いで、時期を当てられたことはあったけど、見えないはずのものをズバズバ言い当てる霊視の力に驚愕し、放心状態の私。
そして、最後に与えられた助言は、
「お嫁にいくと苦労しますね。別れたほうが身のためでしょう」
苦労をするなんて、そんなのすでに承知済み。一度の電話占いであきらめることなんてできません。しかし、結果が気にならないわけでもなく……。
そこで私がたどりついた答えが、驚異の的中率の霊視占いを使って、三上君や継母の状況を探れば、上手く結婚に辿り着ける方法が見つかるはずだと思ったのです。
そしてここから、私の人生は大きく狂い始めました。
三上君との結婚をかなえるため、あらゆる占い師に占ってもらおうとネットの口コミで当たる占いを見つけては、休日の度に出向く日々。電話占いに至っては一晩で数名の占い師の鑑定を受けたりと、手当たり次第に占いを受けていました。
しかし、どの占い師も口を揃えて言うことは「(三上君とは)この上なく悪い相性」「不幸になる運命」「彼の気持ちを霊視しましたが、あなたと結婚する気などありません」「この人、絶対に浮気します」という心の折れるようなお告げばかり。最善策が見つかるどころか、寺嫁への意欲が次第に冷めていったのでした。
さらに、肝心な三上君との間にも不穏な空気が流れ始めました。
占いの結果を逐一報告していた私。最初は笑って聞き流していた三上君でしたが、「お母さんってカーテンみたいな服着てるよね?」「浮気するって言われたけど本当?」と、占い師に言われたことを確かめていると、「いい加減にしろよ!」と、言われる始末。
私が占いに頼るのも、三上君が好きだからこそ。そんな思いも知らずに突き放す三上君に不信感が増し、それと比例し「相性が悪い」という占いが当たっている気がして、どんどん占いに洗脳されていくばかり。まさに占いジプシー状態でした。
初めての電話占いから3カ月ほど経ち、占いに費やした金額は約30万。三上君との結婚も寺嫁への道もすでに閉ざされかけていたとき、同僚に紹介された電話占いサイトで、仏門で修行を積んできたという占い師を発見。観音様の力とやらに最後の望みを託すことにしました
電話に出たのは関西弁で話す女性の占い師でした。開口一番、「この男はやめとけ!」と言い放った占い師。強い口調にひるむ私。そして占い師は続けて言いました。
「アンタの運命の相手が、私にはちゃんと見えとる。長細い顔の人や!」
そうズバッと言い切られ、「運命の相手は長細い顔の人…!? 三上君じゃなかったんだ!」と、得心してしまったのです。占い師との電話を切るやいなや、三上君にお別れのメールを送ったのでした。
最愛の三上君と別れ傷心ながらも「長細い顔の彼」を希望に再び婚活を始めた私。婚活に協力的な母親が結婚相談所に入会し、1年半で70人程の男性と出会うものの、「長細い顔の彼」は一向に見つかりません。
そして26歳、結婚に焦りを感じ始めた私は、再び占いを頼ってしまうことになるのです……。
(茶ふみ)
・ブログ